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戦略的提携、M&A

戦略的提携とは?


キーワード: 戦略的提携戦略的提携の強みと弱み戦略的提携を促す範囲の経済M&AM&Aの強みと弱み

 企業が、新規参入を実施するとき、そのオプションは、①内部開発(内部での開発、市場開拓)、②M&A、③戦略的提携である。本ページは、バーニー(2003邦訳(下))を参考に、戦略的提携M&Aについて記載する。

 2つもしくはそれ以上の独立した組織が、製品・サービスの開発、製造、販売などに関して協力する場合、それを戦略的提携と言う。これは、大きく次の3つに分類される。
  1. 業務提携(non-equity alliances)
    例)ライセンス契約 (licensing agreements)、供給契約 (supply agreements)、配送契約 (distribution agreements)
  2. 業務・資本提携(equity alliances)
  3. ジョイント・ベンチャー(joint ventures)
下図は、そのタイプを図で示している。








戦略的提携のタイプ


図 戦略的提携のタイプ
出所)バーニー, 2003邦訳(下), p7, 図11-1戦略的提携のタイプより。





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戦略的提携の強みと弱み
  • 強み:柔軟性。不確実性のある場合にはよい。また、M&Aと違って必要な部分のみ範囲の経済を追求できること。
  • 弱み:パートナーとの互恵関係の維持が難しい(裏切りの脅威)。


戦略的提携を促す範囲の経済(*範囲の経済とは?
企業にとっては、企業間での範囲の経済を追求できるという点から、このシナジーを活用することがインセンティブとなる。バーニー(2003邦訳(下))は、その著で、戦略的提携を通じて実現できる範囲の経済性として重要なものをピックアップしている。それらを以下に示す。
  1. 規模の経済の追求:アルミニウム業界のボーキサイト採掘企業のジョイント・ベンチャー
  2. 競合からの学習:GMとトヨタのジョイント・ベンチャー(GMはトヨタから性能の高い小型車を効率的に製造するノウハウを、トヨタはGMを通じてアメリカ市場での配送・流通ネットワークへアクセス)。学習レース―この場合、トヨタとGMどちらが学習(習得)に時間がかかるかor学びやすいか?
  3. リスクとコスト分担:ハイリスク・ハイリターンの研究開発など(自動車の低排出ガスエンジン、海上油田)
  4. 暗黙的談合の促進:提携とは本来暗黙的談合の形成を後押しする。1900年代アメリカ鉄鋼業界で、USスチール以外の企業がジョイント・ベンチャーで2つの大きなグループを形成し、USスチールが単独で行なう垂直統合戦略に対抗。。
  5. 低コストでの新規参入:新規、特に海外市場などの場合、パートナーの一方は製品・サービスをその提携に提供し、もう一方は現地に関する知識、流通ネットワーク、政府の規制対策を経営資源として提供する。
  6. 新たな業界もしくは業界内新セグメントへの低コスト参入:デュポンはフィリップスとの提携でエレクトロニクスに参入。フィリップスのインセンティブは米国へ参入コストを減らすこと。
  7. 業界もしくは業界内セグメントからの低コストでの撤退:レモン問題の回避。コーニングが医療診断事業をチバガイギーに売却。はじめの半分は7500万ドルで、2年後残り半分は1億5000万ドル、両社の提携関係が情報の非対称性を減少させた。
  8. 不確実性の対処:不確実性が高い複数の戦略オプションは自社が全面的には参入できないが、戦略的提携により、業界への参入路を確保しておくもの。M&Aと比較して柔軟性が強み。





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M&A(merger and acquisition)
多角化の有力なオプションであり、非常に頻繁に利用される企業戦略である。戦略的関連性のないM&Aは、ターゲット企業にとってもビディング企業(ターゲット企業の買収をめぐる競争への参加者)にとっても標準的利益しかもたらさないことから、1960年代に頻発したコングロマリット型のM&Aは、昨今は多くない。

以下には、バーニー(2003邦訳)に示されたM&Aのカテゴリーの分類を示す。

表 FTCによるM&Aのカテゴリー分類(バーニー, 2003邦訳(下), p181 表14-1)
*FTC(the Federal Trade Commission:アメリカ公正取引委員会)

垂直型合併 供給者や顧客を買収
水平型合併 競争企業を買収
製品拡大型合併 M&Aにより既存製品を補完する製品ラインを獲得
市場拡大型合併 M&Aにより新たな市場を獲得(地理的なものが主)
コングロマリット型合併 ビディング企業とターゲット企業の間に戦略的関連性なし


M&Aがもたらす経済的利益の源泉は―すなわち、なぜM&Aを行なおうとするのか?―その理由をバーニーは、以下の文献よりその内容を表している。
*M. C.Jensen and R. S.Rubak(1983). "The market for corporate control: The scientific evidence." Jounal of Financial Economics, 11, pp5-50.
  1. 生産コストや流通コストの削減の可能性
    ○規模の経済
    ○垂直統合
    ○より効率的な生産方式や組織的技術の採用等
    ○ビディング企業の経営陣のさらなる活用
    ○組織特殊な資産を共通の管理下に置くことによるエージェンシー・コストの削減

  2. 財務的機会の実現
    ○活用できなかった節税策の活用
    ○倒産費用の回避
    ○さまざまな優遇税制の活用
  3. 製品市場における市場支配力の獲得、創造
  4. ターゲット企業の非効率な経営管理者を排除できる可能性



M&A(merger and acquisition)の強みと弱み
  • 強み
    ○内部開発に比して、迅速に異分野に参入できる。
    ○戦略的提携の場合のような「裏切りの脅威」はない。
  • 弱み
    ○戦略的提携に比較して柔軟性の点が弱い。
    ○戦略的提携と違って、余分な組織も引き受けなければならないことがある。
    ○独占禁止法のためにM&Aできないことがある。
    ○組織文化などの問題に絡み、統合後のマネジメントは簡単でないことが多い。

全社戦略とは、企業が複数の事業を同時に営むことによって、競争優位を獲得するためにとる行動であり(バーニー,2003,邦訳(下), p5)、本ページでは、戦略的提携、M&Aを記載してきた(他には多角化)。いずれの場合においても、鍵となるのは、「範囲の経済」である。







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<参考文献>
○ジェイ・B・バーニー, 岡田正大訳, 『企業戦略論【下】全社戦略編 競争優位の構築と持続 』 , ダイヤモンド社 ,2003邦訳,
主には、第11章 戦略的提携、第14章 合併買収を参照。






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