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モチベーション論

多種多様な考え方


キーワード: マクレランドの欲求理論目標設定理論期待理論内発的動機づけコンピテンシーモチベーションの夢理論

 モチベーション論は、個人レベルの組織行動、ミクロ組織論の中心的な理論である。多種多様であるとはいえ、その歴史をひもとけば、マズローの欲求階層理論、マグレガーのX理論・Y理論、ハーズバーグの動機づけ・衛生理論など、「ひとを動機づける源泉が、そのひとがもっているそもそもの欲求である(金井, 2004, p60)」とされている。(以上は榊原,2002、金井, 2004を参照)

本ページは、主に以下に挙げる現代的モチベーション論を記載する。
*関連リンク:モチベーション理論(古典的理論)リーダーシップ論









マクレランドの欲求理論(榊原, 2002, p58参照)
この理論では、次の欲求次元が識別されている。
*調査は、このなかで、達成欲求に焦点が当てられ、次元間の階層性は仮定されていない。
  1. 達成欲求(need for achievement)
    この欲求がが強い人間は:
    ①責任感が強い、②フィードバックがあり、中程度のリスクが生じる仕事を選好する、③必ずしも理想的マネジャーにならない。
  2. 権力欲求(need for power)
  3. 親和欲求(need for affiliation)
また、権力欲求、親和欲求の強い人間は、マネジャーとしての成功確率が高い、達成動機は研修や教育により高めることが可能である。

などといった発見をしており、現実においても、とくにマネジャーの選抜に示唆的な内容である。


目標設定理論(エドウィン・ロック、ゲイリー・レイサムが1984に提唱、本文は、金井, 2004, pp65-66参照)
位置づけは、心理学的アプローチの一つであり、経営でもよく使用する「目標」をキーワードにしている。注目される4つの要素は以下である。
  1. 目標の困難度
  2. 目標具体性
  3. 目標の受容
  4. フィードバック
高い成果を生もうとすれば、1. 挑戦的だが高すぎない目標を与える、2. 目標を具体的にする、3.目標を本人に受容してもらう(上司というよりは個人が主体的に設定することにより)、4.適切にフィードバックする、を考慮するとよい。




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期待理論(榊原, 2002, pp60-61、ステファン・P・ロビンス, 1997邦訳, pp89-92)
期待理論は、人間の行動志向は、その行動があらかじめ定められた報酬につながるという期待の程度と、そのアウトプットが本人に与える魅力の程度による、というものである。
これは、動機づけについて最も総合的に説明しており、広範に受け入れられている理論でもある。この理論の前提としている人間観は「功利主義的な合理人」である。

変数は次の3つである。
1.魅力:個人がその職務で達成できると予想される結果(=報酬)にどれだけの重要性をおいているか。
2.業績と報酬の関係:個人がどの程度の仕事をすれば、望ましい結果を達成できると考えているか。
3.努力と業績の関係:個人がどの程度の努力をかたむければ業績につながる確率があるか。

下図は、期待理論を単純化したものである。

図 期待理論
出所)榊原,2002, p60, 図Ⅱ - 1
引用元:Stephen P. Robbins, Organizational Behavior, Seventh Edition, Prentice-Hall, 1996, p230, Figure 6-7



個人の高いモチベーションが生じるには―
①個人の努力が一定の成果(業績)に結びつく可能性が高く、
②そうした業績が何らかの報酬をもたらす可能性が高く、
③そうした報酬が自分の目的に照らして望ましいものである、
と個人自身が感じることが必要なのである。
*①~③がそれぞれ、“そうだとは限らない”ことも重要である。

図では、図中の1をE→P期待、2をP→O期待、3を報酬誘意性といい、モチベーションの強さは、こられ3つの項を掛け合わせた積で表現されている。

議論すべき、いくつかのこの理論の問題は―
○報酬重視
○期待される行動を重視(各自は自分への期待の何たるかと、その評価を認識しているか否か)
○個人の期待に配慮(現実的なものが無関係)
が挙げられている。








内発的動機づけ(エドワード・デシが1975に提唱、本文は、金井, 2004, pp60-61参照)
物質的・経済的報酬などの外発的な理由ではない純粋に自発的なモチベーションとして提唱された。活動それ自体が動機づけの源泉となる場合をいう。

これは、その活動を通じて自己の有能さ(コンピテンシー)や自己決定の感覚が得られる場合に、個人の内部に強く発生するモチベーションである。経済学的の対極であり、物質的報酬より高い志を強く信奉する日本では、親和性が高いといえる。

(参考)
  • コンピテンシー(金井, 2004, 第2部 第2章 コンピテンシーとは何なのか、参照)
  • 「コンピタンス」という古典的定義から遡れば、ハーバード大学の心理学者ロバート・W・ホワイトが1959年に提唱した「環境と効果的に相互作用する有機体の能力(capability)*1」であり、今日的には、適性としての研究から具体の行動へと焦点を移したデイビッド・マクレランドの概念が代表的モデルとして定着するようになった。
  • その後、研究はコンサルティング会社に引き継がれていったが、際立った役割を果たしたのは、ヘイ・マネジメント・コンサルティングの依頼により共同研究の母体となったマクバー社(マクレランドは創設者の一人)である。その定義は以下である*2。
  • コンピテンシーとは、ある職務、もしくはある状況において、基準(criterionという語は、通常、成果の基準変数を指す)との関連で効果的、または優れていると見なされる業績(引用者注:振る舞いでもあり、成果も合意する)と因果関係がある、個人の基本的な特性である。」(金井, 2004, p40より引用;原文まま)
  • *1) White, Robert W., "Motivation Reconsidered: The Concept of Competence.", Psychological Review66, pp297-333, 1957.
  • *2) Spencer, Lyle M., and Signe M. Spencer, Competence at Work: Models for Performance. New York, NY: Wiley(ライル・M. スペンサー , シグネ・M. スペンサー,梅津祐良・ 横山哲夫・成田攻訳, 『コンピテンシー・マネジメントの展開―導入・構築・活用』,生産性出版, 2001.)が引用元。本ページの内容は、金井,2004, p40から引用。

自分のやっていることが、組織等の成果につながっていると感じることは、人を内発的に動機づけ、コンピテンシーの感覚が得られるように、能力を育成したり、発揮させたりすることがモチベーションにつながる。また、自己決定(自分の決めたことを行なっている)の感覚が、コンピテンシーとともに、内発的動機づけを高くする。

これらから―
①能力の育成、それを発揮できる環境を与え、有能さ(コンピテンシー)を感じさせ、
②できるだけ本人の希望する仕事、または本人が決定した仕事をさせることで、自分で決めたという感覚をもてるようにしていく―
ということが、内発的動機づけを高くする要因となる。



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モチベーションの夢理論(金井, 2004, pp71-72参照)
目標設定理論とその応用である目標管理制度においては、ある時期に結果を数字で評価し、フィードバックすることが大切であるが、目標の達成を目指すのであれば、それまでの長期的なプロセスを考慮しなければならない。短期的に目標達成を評価する目標管理は適さない。短期的な定量評価は、目標達成の大きなブレーキとなるかもしれないからである。

その、長期のスパンということから、何が私達を動かすか―とい視点で、金井(2004)は以下の夢理論を論じている。
  1. 夢を持つこと(ここから始まる。夢なので、目標といった具体的なレベルのものではない)
  2. 夢の共有(協力者、賛同者の存在及び提唱者と協力者の夢の共有)
  3. 逆境の克服(夢の実現の過程では、大きな試練や困難、失敗に遭遇する。必要は創造性の母)
  4. 精神の持続(実現するまで初志を貫徹する、原点である夢に執着する)








<参考文献>
○榊原清則, 『経営学入門 上 日経文庫 853 』, 日経文庫, 2002, Ⅱ組織行動論―ミクロ組織論, 2集団活動 参照.
○金井壽宏, 髙橋潔,『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト (一橋ビジネスレビューブックス)』, 東洋経済新報社, 2004, 第3章 モティベーション論のミッシング・リンク 参照。
○野中郁次郎, 『経営管理 (日経文庫 (512)) 』, 日本経済新聞社, 1983, 第2章 個人と集団の理解より。
○ライル・M. スペンサー , シグネ・M. スペンサー,梅津祐良・ 横山哲夫・成田攻訳, 『コンピテンシー・マネジメントの展開―導入・構築・活用』,生産性出版, 2001.

<学習の参考に>
金井壽宏, 「モティベーション持論とリーダーシップ持論―やる気を自己調整するフォロワーを生み出すリーダーになるために」, 立教大学リーダーシップ研究所ディスカッションペーパーシリーズ, vol1.2, 2007.(PDFはこちら:約4.2Mあります)
この資料に関しての引用は、著者の許可が必要です。


  



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