経営基礎用語集ホーム | 経営基礎用語集インデックス | MOT用語集 | E-mail

組織行動論(OB)

ミクロ組織論とは?モチベーション論とは?


キーワード: モチベーション理論(古典)ホーソン工場実験欲求階層理論(マズロー)X理論・Y理論(マグレガー)動機づけ衛生理論(ハースバーグ)

組織研究には、組織行動論(OB)、組織理論(OT)の流れがあり、前者をミクロ組織論、後者をマクロ組織論と呼ぶことが一般的である。
それぞれの概要は以下である。
  • マクロ組織論
    社会集団としての組織の構造やデザインを問題にしており、アプローチは社会学的である。組織目標を達成する上で、どのような組織構造にするかなどを取り扱う。
  • ミクロ組織論(本ページで内容)
    リーダーシップ、モチベーションなど、組織内のメンバーの行動に焦点を当てたもので、主なアプローチは心理学的である。組織目標を達成する上で、どのように個人や集団に働きかけるかなどを取り扱う。

本ページでは、ミクロ組織論の主なテーマである「モチベーション論(古典的理論)」を取り扱う。
*関連リンク:現代的モチベーション論リーダーシップ論









1. モチベーション論(古典的理論)
 モチベーション理論は、組織における個人行動をみる場合に重要である。モチベーション(motivation)とは動機づけを意味し、「目標達成のために高レベルの努力を行なおうとする個人の意思」と定義されている。(以上の記載は、榊原,2002参照)
以下で古典理論を振り返る。

ホーソン工場実験(野中, 1983、金井他, 2004参照)
ウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で行なわれた実験、実証研究のこと。
期間:1927年~1932年(最も有名な継電器組立実験は1929年までの26ヶ月)
目的:作業者の生産性向上を規定する要因追及
生産性に関連するとした原因変数:作業方法、材料の変更、疲労、作業室の温度、睡眠時間、天候の変更等の変数とその関係
当時の産業界では・・・テイラーの科学的管理法(Wikipedia)*が支配的。
*「フレデリック・テイラーが20世紀初頭に提唱し、ガント、ギルブレスらによって発展した労働者管理の方法論。テイラー・システムとも呼ばれる。(Wikipediaより)」

結果:統計的な有意差なし。
考察・結論:物理的作業条件をよくすれば、作業効率は上がるという、古典的管理論の命題を否定することになった。また、生産性が向上した作業者への質問より、それまでは軽視されていた職場の人間関係(インフォーマルな集団の役割など)や集団における人間的側面の重要性を指摘する、新しい視点が導き出された。

その後:この実験を契機に、「個人」―マクレガー、ハースバーグなど―やリーダーシップ研究などの「集団の動機づけ」に関する研究が盛んになっていった。

(参考)ホーソン効果:エルトン・メイヨーやフリッツ・レスリスバーガー(初期の人間関係学派)は、この実験で、調査者の解釈が不明な際に助言を求められ、接触するようになったが、メイヨーは大変アイデア豊富な人で、皆が解釈に困っている結果を見て、様々なアドバイスを送る。その際の快活さ、創造的な知性は、従業員のやる気を増加させ、調査者の関心、興味、好奇心に応え、活気づいていったことは、生産性を高めていった。この効果をいう。


ページトップへ戻る


 ホーソン実験で知見を得られた後に、組織に働く人々は、集団や人間関係に埋没するだけでなく、仕事そのものに動機づけられ、仕事を通じた自己実現を目指して成長していくという考えを押し出す、人間主義心理学という流れが生まれた。
代表的には、1960年代から、エイブラハム・H・マズローによる欲求階層理論やダグラス・マクレガーによるX理論・Y理論であり、能動的で主体的な側面を強調する人間観が主張され始めたのである。(金井他, 2004参照)

マズローの欲求階層理論(野中, 1983、金井他, 2004参照)
マズローはこの理論のなかで、人間がもつ5つの基本的欲求を仮定した。
1)生理的欲求
2)安全でありたい欲求
3)帰属・愛情を得たい欲求
4)尊敬を得たい欲求
5)自己実現をしたい欲求

(金井, 2004)
これらの欲求が、低次から高次まで、階層をなすような関係性を仮定した。自己実現という欲求概念を持ち出すことによって、われわれが、仕事を通じて自己の能力を発揮していくことをそもそも望んでいるという説を提唱し、人間性へに強い期待と楽観を示した。

(野中, 1983)
ホーソン工場実験に発した人間関係論は、マズローによって人間の社会的欲求あるいは尊厳欲求の充足にとどまらず、さらに上位の、自己のもつ潜在的可能性をとことんまで実現したいという自己実現欲求の充足が個人を最も強く動機づける、と主張するにいたったのである。




 欲求階層理論に依拠しながら、管理者の立場から見て、部下にあたる人間がもつ本性を相異なる2つの理論として対比させたのが、マグレガーによるX理論・Y理論である。

マグレガーのX理論・Y理論(金井他, 2004参照)
X理論:人間は生来働くことを好まず、責任を回避したり、大志をもたず、何より安全を希求するものであり、組織の目標達成のためには、命令や強制、処罰の脅威を与えなければならない。
Y理論:仕事で心身を使うのは人間の本性であり、尊厳や自己実現といった報酬が与えられる場合には、組織目標達成のために献身し、自己統制を行い、積極的に責任をとり、創意工夫を行なう。
例)分権、権限委譲、参画的経営、目標管理など

マグレガーによれば、この2つの理論に基づいて、管理者が仕事に対する人間(部下)の動機を正しく理解することによってはじめて、適切な管理ができると考える。


ページトップへ戻る




ハーズバーグの動機づけ衛生理論(野中, 1983, pp72-74)
マズローの欲求階層説やマグレガーのY理論は、それぞれ自己実現欲や企業における「人間的側面」の重要性を指摘し、組織における人間性の回復というヒューマニズムを根底にしていたが、これらの理論は仮説の域をでない面があった。これに対して、実証研究の中から生まれてきたのが、この理論である。

ハーズバーグは1950年代に、約200人の会計士、技術者を対象に職務満足、不満足と労働意欲の関係を調査した。
それは―「あなたが現在の仕事あるいは過去に経験した仕事について、特に満足したあるいは不満足であったと思ったときのことを考えてください。これは長期、短期どちらの場合でも結構です。その時何が起こったかを話してください。」―という質問が基礎になったものである。

結果の一致した傾向は、仕事への満足感は、一般的に仕事の内容に関連し、不満足感は仕事の環境に関係していた。

この職務満足要因を「動機づけ要因」(仕事の達成,やりがいのある仕事,重い責任,業績が認められること)、職務不満足要因を「衛生要因」(監督者・同僚・部下との関係,組織の政策と管理,給与,労働条件,職務安定性)と命名し、動機づけの二要因理論といわれている。

この理論の意義は、それまでの人間関係論者が議論してこなかった「衛生要因」の重要性も指摘したことである。


 マズローがその欲求階層理論において、マグレガーがY理論において、また、ハーズバーグが動機づけ要因の重要性を指摘するときに、その背景には、必ず人間の幸福に対するアプリオリな価値観が存在する。
 しかしながら、企業の目的はあくまで利潤の追求であり、損をしてまで労働者の福利の向上に力を入れることできない事も正しい事実である。(この段、金井他, 2004, p213)

現代的モチベーション論はこちら。


ページトップへ戻る







<参考文献>
○野中郁次郎, 『経営管理 (日経文庫 (512)) 』, 日本経済新聞社, 1983.
○金井壽宏, 髙橋潔,『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト (一橋ビジネスレビューブックス)』, 東洋経済新報社, 2004.
○榊原清則, 『経営学入門 上 日経文庫 853 』, 日経文庫, 2002, 「Ⅱ 組織行動論―ミクロ組織論」を参考。

<学習の参考に>
金井壽宏, 「モティベーション持論とリーダーシップ持論―やる気を自己調整するフォロワーを生み出すリーダーになるために」, 立教大学リーダーシップ研究所ディスカッションペーパーシリーズ, vol1.2, 2007.(PDFはこちら:約4.2Mあります)
この資料に関しての引用は、著者の許可が必要です。






ホーム | ブログ | 他のコンテンツ | Information | E-mail
Copyright (C) 2008-2010 i-Library MOT テキスト製作委員会