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組織行動論(OB)

ミクロ組織論とは?リーダーシップ論とは?


キーワード: リーダーシップ論リーダーシップ行動の主要な2つの次元ミシガン研究オハイオ研究コンティンジェンシー理論(リーダーシップ)

組織研究には、組織行動論(OB)、組織理論(OT)の流れがあり、前者をミクロ組織論、後者をマクロ組織論と呼ぶことが一般的である。
それぞれの概要は以下である。
  • マクロ組織論
    社会集団としての組織の構造やデザインを問題にしており、アプローチは社会学的である。組織目標を達成する上で、どのような組織構造にするかなどを取り扱う。
  • ミクロ組織論(本ページでの内容:リーダーシップ論))
    リーダーシップ、モチベーションなど、組織内のメンバーの行動に焦点を当てたもので、主なアプローチは心理学的である。組織目標を達成する上で、どのように個人や集団に働きかけるかなどを取り扱う。
本ページでは、ミクロ組織論の主なテーマである「リーダーシップ論」を取り扱う。
*関連リンク:モチベーション論(古典的理論)現代的モチベーション論








2. リーダーシップ論 (1. モチベーション論(古典)はこちら)
 リーダーシップの定義―「リーダーシップとは、集団に目標達成を促すよう影響を与える能力である」(ステファン・P・ロビンス, 1997)。この研究のトレンドは、1940年代後半まで資質理論(リーダーのもつべきパーソナリティや社会的、心理的、知的特長を挙げていく議論)、1940年代後半から1960年代後半までは行動理論(リーダーの資質というより、その行動特性を抽出する議論)、1960年代後半からコンティンジェンシー理論(後述)となっている。以下、これまでの代表的な研究を記載する。


リーダーシップ行動の主要な2つの次元(野中, 1983参照)
野中(1983)は、その著の中で、リーダーシップに関する次元は、多くの実証研究から「タスク」と「」で捉えることができるとしている。オハイオ州立大学の研究を例にして、彼は、タスクのことを「構造づくり」、人のことを「配慮」と名づけていることを指摘し、それぞれの代表する行動を以下のようにしている。
タスク(構造づくり)
厳格に規則で管理する。
部下が標準的な仕事のやり方に従うよう、細部にわたって指導する。
部下が行った意思決定を彼に知らせるよう主張する。
部下にもっと努力するよう刺激する。
何をやり、どうやるのかを細かに決める。
人(配慮)
部下がいい仕事をすると評価する。
部下に高いモラルの重要性を強調する。
すべての部下を平等に扱う。
友好的で近づきやすい。


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ミシガン研究(ステファン・P・ロビンス, 1997,参照)
野中(1983)が示した2つの次元において、リカートを中心とするミシガン大学は、タスクを「生産志向」、人を「従業員志向」とし、業績効果の測定値に関係があると見られるリーダーの行動的特徴を見出すことを目的に研究を行なった。

生産志向のリーダーは、仕事の技術的あるいはタスク上の側面を重視し、従業員志向のリーダーは、部下のニーズに個人的関心をよせ、メンバー間の個性の違いを受け入れた。

ミシガン研究の結論は、従業員志向が好業績をもたらすリーダーシップであり、好ましい、というものであった。生産指向は、緊張と圧力を生み出し、メンバーの満足を低下させ、離職を増大させるとした。



オハイオ研究(ステファン・P・ロビンス, 1997、榊原, 2002, 参照)
野中(1983)が示した2つの次元においては、タスクのことを「構造づくり」、人のことを「配慮」として捉え、この二次元を抽出している。構造づくりは、リーダーがフォロワーの役割を定義し、集団行動を組織化する行動を含み、例としては、業務、業務関係、目標を組織的にまとめようとする行動である。配慮は、相互信頼、尊重、リーダーと彼との集団間の信頼ある温かさを示す行動で、親しみやすく、すべての部下を平等に扱うと描写されている。

そして、この2つの次元がともに高いリーダー(“high- high” leader)がそれ以外のリーダーよりもフォロワーの仕事達成と満足度は共に高いことが報告されている。とはいうものの、例外も多く(例えば、配慮の高さは上司によるリーダーの業績評価と反比例するなど)、状況要因をこの理論に組み込む課題も見られた。



  これらの研究への批判は、「最適なリーダーシップは状況に依存するのではないか?」に代表される。リーダーシップをリーダーが示す行動から説明する研究ではあるが、リーダーシップの行動パターンと集団業績との間に一貫した関係を見出すという点では、ほとんど成果が見られなかった。

 これは、状況によって結果が異なるため、一般論を導くまでにはいたらなかったのである。こういったことから、60年代後半には、リーダーシップのコンティンジェンシー(条件適合)理論が台頭してくるのである。





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リーダーシップのコンティンジェンシー理論
フィードラーのコンティンジェンシー理論(野中,1983、ステファン・P・ロビンス, 1997,参照)
リーダーシップの状況適応理論を、コンティンジェンシー理論という名で提唱したのは、フレッド・フィードラーである。フィードラーは、高業績をあげるリーダーの有効性は、リーダーのもつパーソナリティ(特に欲求構造)と、リーダーが特定の状況でどれだけ統制力や影響力を行使できるかという状況要因に依存すると主張した。

フィードラーは、タスク志向か人間関係志向かの測定手段として「最も好ましくない仕事仲間(LPC: least-prefered coworker)に関する質問紙」をもとに、現在まででも最も仕事をしたくなかった同僚を思い浮かべさせて、その人物を16項目にわたり評価させるものである(高LPC:人間関係志向、低LPC:タスク志向)。

状況要因は、状況好意性という概念で示され、以下の三側面を定義する。
1)リーダー・メンバー関係(良い/悪い)
2)タスク構造(高い/低い)
3)権限の地位(強い/弱い)

これらの関係は、下図のようになり、状況が好意的、非好意的の両極でタスク志向リーダーの成果が高く、状況が中程度に好意的状況で人間関係志向リーダーの成果が高いことを示したのである。

リーダーシップ・スタイル、状況、集団成果の関係
(野中,1983, p130 図4-3より引用。*元の出典は、フィードラー, F.E. (山田雄一監訳)『新しい管理者像の探求』 産業能率短大出版部, 1970より作成したもの)




仕事(タスク)志向であれ、関係性志向のリーダーシップであれ、その有効性は状況に依存する。あらゆる状況に普遍妥当なリーダーシップスタイルはない、ということができるが、フィードラーはリーダーシップの有効性を理解するうえで重要な貢献を果たしているといえる。






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<参考文献>
○ステファン・P・ロビンス,髙木晴夫監訳, 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』, ダイヤモンド社,1997.
*上記の書籍は新版が出版されています。→『【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ
○野中郁次郎, 『経営管理 (日経文庫 (512)) 』, 日本経済新聞社, 1983.
○榊原清則, 『経営学入門 上 日経文庫 853 』, 日経文庫, 2002, 「Ⅱ 組織行動論―ミクロ組織論」を参考。

<学習の参考に>
金井壽宏, 「モティベーション持論とリーダーシップ持論―やる気を自己調整するフォロワーを生み出すリーダーになるために」, 立教大学リーダーシップ研究所ディスカッションペーパーシリーズ, vol1.2, 2007.(PDFはこちら:約4.2Mあります)
この資料に関しての引用は、著者の許可が必要です。






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