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組織理論(OT)

マクロ組織論とは?


キーワード: マックス・ウェーバーの官僚制論古典的管理論の主要原則コンティンジェンシー理論組織構造を決める5つの要素組織構造を規定する3つの要素組織構造の3つの次元(複雑性・公式性・集権性)組織構造の3つの形態(職能・事業部制・マトリクス組織)

組織研究には、組織行動論(OB)、組織理論(OT)の流れがあり、前者をミクロ組織論、後者をマクロ組織論と呼ぶことが一般的である。
それぞれの概要は以下である。
  • マクロ組織論(本ページの内容)
    社会集団としての組織の構造やデザインを問題にしており、アプローチは社会学的である。組織目標を達成する上で、どのような組織構造にするかなどを取り扱う。
  • ミクロ組織論
    リーダーシップ、モチベーションなど、組織内のメンバーの行動に焦点を当てたもので、主なアプローチは心理学的である。組織目標を達成する上で、どのように個人や集団に働きかけるかなどを取り扱う。
*本ページでは、マクロ組織論での古典的理論を取り扱う。

 組織論の研究の変遷は、マックス・ウェーバーが、合理的な組織としての官僚制を提唱してから、最善の組織構造を追及したアンリ・ファヨール(フェイヨールとの記載もあるが、ここではファヨールとする)ら、古典的管理論者の管理の原則、その後のコンティンジェンシー理論に至っている。
*組織論の変遷は、榊原清則, 『経営学入門 下 日経文庫 854』, 日経文庫, 2002,付録1「経営学の変遷」に詳しい。





(参考)
マックス・ウェーバーの官僚制論:ドイツ人社会学者のマックス・ウェーバーは政治、宗教、経済に及ぶ広範な洞察に基づき、組織の将来を予見した。彼によれば、新しく工業化された世界における究極的な組織形態は、官僚制(bureaucracy)であるとした。

 その特徴は、高度の階層性、非人格性、明文化されたルールによる管理、業績に基づいた昇進、そして作業の専門分化である。高度の効率を実現することができ、現代の巨大企業の組織のあり方を予見しているといえる。
(榊原清則, 『経営学入門 下 日経文庫 854』, 日経文庫, 2002,付録1「経営学の変遷」を参考。Wikipedia(マックス・ヴェーバー)はこちら


古典的管理論の主要原則:ファヨールら古典的管理論者により提唱された原則である。
Wikipedia<アンリ・ファヨール>)。
ここでは、野中(1983)が示した5つの主要原則を記載する。矛盾やコンフリクトを起こす可能性があるとはいえ、野中は、組織構造の本質をついていると述べている(野中(1983),p29)。
  1. スカラー(階層性)の原則:ピラミッド型の組織においてトップから作業レベルまでの責任や権限を明確にする。その命令連鎖の一貫性を確保する。
  2. 命令一元化の原則:複数の上司から命令を受けるべきではなく、一元的に行なわれるべきである。
  3. 統制範囲の原則:一人の上司が監督する部下の人数は、限界があるという監督範囲適正化の原則。適正な人数は、3人から6人くらいといわれるが、上司の能力、部下の能力、仕事の性質などの組織の状況によってきめるべきである。
  4. 専門化の原則:組織の諸活動は、専門化することにより、効率的に行うことができ、分化した仕事に集中することにより、専門化が可能になる。
  5. 権限委譲の原則:反復的に生じる問題の決定や処理は、定型化された仕事として、ルーチンとして行われるべきであり、こうした意思決定は、部下に任せるべきである。上司は、重要な問題、非定型的問題についての意思決定に重点をおくべきである。



コンティンジェンシー理論:ポール・R・ローレンスとジェイ・W・ローシュによるコンティンジェンシー(条件適応)理論では、組織が直面する不確実性に対する適応のあり方が示されている(1967)。

 外部環境が安定的で予測可能であれば(不確実性は低い)、合理的な計画や固定的な組織構造が適合する余地は少なくない。反対に、外部環境が不安定で予測不能であれば(不確実性は高い)、環境の変化に対応できる柔軟な組織構造と、分散化された意思決定のあり方が適する。
 したがって、不確実性の高い環境で、高い成果をあげる組織では、各部門の「分化」が進み、これと同時に起こりうる組織全体の調整の困難さを「統合」の機能を進ませることにより対応する。このことをローレンスは示した。

内部・外部環境のあらゆる条件に適する組織はなく、組織構造にせよ、リーダーシップにせよ、現代に有用な理論は、ある意味で、すべて条件適応(コンティンジェンシー)であるといえる。
(金井壽宏, 髙橋潔,『組織行動の考え方 』, 東洋経済新報社, 2004, 「第1章 経営学と組織行動の間柄」より。)






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そもそも組織構造とは、「組織における分業と調整の体系」(伊丹,加護野(2003))といわれ、そのデザインとは、職能別組織、事業部制組織、マトリクス組織などである。

ここでは、榊原(2002)、伊丹,加護野(2003)などを参考に、以下の組織理論の代表的ないくつかの問いかけを中心にマクロ組織論を述べていく。

  1. 組織構造を決める5つの要素(伊丹,加護野, 2003)
    1)分業関係(組織における仕事の分担をいかに行うか)
    2)部門化(そんな役割どうしを結びつけてグループ化するか)
    3)権限関係(役割のあいだの指揮、命令関係をどうするか)
    4)伝達と協議の関係(役割の間の情報伝達と協議のありかたをどうするか)
    5)公式化(どの程度まで、規則や規定として公式化するか)

  2. 組織構造を規定する3つの要素(Child, 1984、リチャード L. ダフト, 2002邦訳より引用)
    1)組織構造は、階層構造の階層数やマネジャーおよび監督者のスパン・オブ・コントロールなど、公式の職制関係を決める。
    2)組織構造は、人々を事業部門としてくくり、事業部門を全体の組織へとまとめる。
    3)組織構造は、各部門間の有効なコミュニケーションをはかり、調整し、活力を確実に統合するためのシステムの設計も含まれる。

  3. 組織構造の3つの次元(榊原, 2002):組織を全体として特徴付ける構造的要素(構造次元)とは?
    1)複雑性
    水平的複雑性:職位や部門など組織ユニット間の分化の程度であり、専門化(タスクないし課業のグルーピング、または職能)と部門化(部・課・係といった部門組織を編成すること)の下位次元をもつ。
    垂直的複雑性:階層上下のレベルの数
    空間的複雑性:活動拠点の地理的分散の程度

     いずれも、複雑化が進むと、組織内のコミュニケーションは困難になり、これに伴う調整・統合のメカニズム、管理者行動の必要性が高くなる。また、複雑性は,作業の効率を高めるために職能を細分化した結果の構造的特長であり、細分化された職能の内容は単純になるが、組織構造は複雑化する。職能の単純化を進めると組織構造は複雑になる、というジレンマを持っている

    2)公式性
     職務やその進め方が、どの程度公に定められているか、次元で言えば「非公式―公式」の次元である。つまりは、一定の活動を組織的に確保するための、ルール(=期待される行動の規定)、手続き(=タスク遂行における遵守すべき一連の手順)、方針(=意思決定の際によるべきガイドライン)による公式化。文書化(マニュアル・職務記述書)の程度という次元もあるが、かならずしも公式化の程度とは関係しない。

    3)集権性
     意思決定権限がどの程度上位に集中しているかを意味し、次元で言うと「集権―分権」の次元である。分権化は権限の委譲の結果である。権限の委譲は,上位の職位の負担を軽減し、下位の職位の者のモチベーションを高めたり、不確実性への対応として、意思決定ポイントを実行ポイントへ近づけるなどであるが、必ずしも、分権化が進むほど良いというわけではない。


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  • 4.組織構造の3つの形態(榊原, 2002)
  • 組織のデザインにおいて、組織構造をどう見るかは、多様な視点があるが、組織図的な視点から、最も基本的な分類は以下。
  • 1)職能別組織:タテの命令系統が直線的に貫かれた組織形態。研究開発・技術・生産・販売などの職能別に部門化した組織。
  • 2)事業部制組織:事業部を構成単位とする組織形態。事業部とは独立した本社機構があり、自律的単位には、権限と責任のある独自のゼネラルマネジャーを持つ。
  • *事業部:製品別・地域別あるいは顧客別に関連職能を束ねた、独立性・自律性の高い部門を意味している。
  • 3)マトリクス組織:職能と事業(あるいは地域)など複数の軸が同時に使われている組織。

  • 各組織形態の強み・弱み
    強み 弱み
    職能別組織 指揮・命令系統が一元的で単純(重複が排除できる)。
    責任・権限が明快。
    各職能の専門化による熟練の形成と活用。
    権限が上位に集中し、トップマネジメントの過剰負担。
    多角化による製品別対応の管理が困難。
    下から上への情報フローがうまくいかない。
    事業部制組織 各事業ごとに機動的展開が可能。
    現業の業務に関して各ゼネラルマネジャーに権限を委譲することで、トップが全社戦略に専念できる。
    重複の不経済(組織が複雑で費用が大きい)
    事業ごとの独立性が高く、複数事業部間の相乗効果の実現が難しい。
    マトリクス組織 職能別組織と事業部制組織を重ねた場合、この両者の長所を同時に追求できる。
    複数の命令系統による組織の混乱。
    組織として複雑になるため、調整の負荷、費用ともにが大きくなる。







<参考文献>
○榊原清則, 『経営学入門 上 日経文庫 853 』, 日経文庫, 2002, 「Ⅲ 組織理論―マクロ組織論」を参考。
○榊原清則, 『経営学入門 下 日経文庫 854』, 日経文庫, 2002, 組織論の変遷は、付録1, 「経営学の変遷」を参考。
○伊丹敬之, 加護野忠男, 『ゼミナール 経営学入門 ゼミナールシリーズ 』, 日本経済新聞社, 2003.
○野中郁次郎, 『経営管理 (日経文庫 (512)) 』, 日本経済新聞社, 1983.
○金井壽宏, 髙橋潔,『組織行動の考え方―ひとを活かし組織力を高める9つのキーコンセプト (一橋ビジネスレビューブックス)』, 東洋経済新報社, 2004.
○リチャード・L. ダフト,髙木晴夫訳, 『組織の経営学―戦略と意思決定を支える』, ダイヤモンド社, 2002邦訳, Ⅱ部第3章組織構造の基本より。引用元は、John Child, Organization (New York: Harper & Roe, 1984).






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