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組織文化(Organizational culture)

組織文化とは?シャインの組織文化:3つのレベルとは?


キーワード:組織文化の定義シャインの3つのレベル組織の変革

組織研究には、組織行動論(OB)、組織理論(OT)の流れがあり、前者をミクロ組織論、後者をマクロ組織論と呼ぶことが一般的である。この「組織」と「組織における人間の行動」についての理解を深めることが、組織を管理するにあたり、大切なことである。
本ページはマクロ組織論の「組織文化」に関するものである。


組織文化の定義
 組織文化は、組織の歴史の中で生成・変化していくもので、組織文化のマネジメントはトップにとって、重要な課題である。“最適”“最強”といった概念というよりは、強み弱みとして区別するほうが受け入れやすい。榊原,2002では、その著の中で、大よそ以下の定義を述べている。「組織の独自性の源泉であり、組織メンバーが共有している価値規範信念の体系を示している」と。

注)下線はサイト運営者による―価値:企業にとって何が善であり、何が正しいことなのかについての考え方、(行動)規範:企業においてどのような行動が取られるべきかについての多くの場合明文化されていない規則、信念:事実認識にかかわるもの。「~すべきとか」、「AとはBである」などのように表現されるもの。

さらに、組織文化の特徴を理解する有用な次元については、以下が述べられている(同, pp91-92.)
  1. イノベーション志向
  2. 細部への注意(正確な測定・評価・分析や細部への注意がどの程度強調されるか)
  3. 成果志向(過程よりも成果が大切)
  4. 人間志向(管理上の意思決定が人々に与えるインパクトをどの程度考慮するか)
  5. チーム志向(仕事を進める上でのチームによる遂行がどの程度強調されるか)
  6. 攻撃性(メンバーは競争的か?)
  7. 安定性(メンバーは成長より安定、現状維持を求めるか)

本ページでは、文化の生成過程を理解しやすいエドガー・H. シャインの論を以下に述べていく。







組織文化の3つのレベル(シャイン)(シャイン、清水, 浜田,1989(邦訳)参照)
シャインは、組織文化を「ある特定の集団が外部への適応や内部統合の問題に対処する際に学習した、集団自身によって創られ、発見され、また発展させられた基本的仮定のパターンであり、それはよく機能して有効と認められ、したがって新しい成員にそうした問題に関しての知覚、指向、感覚の正しい方法として教えこまれるもの」と定義している。

そして、文化とは何なのか、の問いに対して、価値、行動を文化の本質の表明として取り扱うことにより、要素を区別した(以下)。
*シャインは,レベル3の「基本的仮定」を文化の本質と考えた。
  1. 人工物(artifact)
    創りだされた物理的・社会的環境のこと。
    例)建物(建て方など)、オフィスのレイアウト(幹部の部屋など考え方を反映していることが多い)、服装、社員の振る舞い、理念(公式的な)、行事(セレモニー的なもの、入社式、表彰式など)

  2. 価値(value)
    この区別での価値とは、議論されたり,疑問視されたり,反対されることもあるレベルのもの。
    例)「広告宣伝は常に売り上げを伸ばす」とリーダーが主張したとすれば、それはリーダーの信念に基づいた価値の表明(構成員には納得している人としていない人がいる)。

  3. 基本的仮定(basic assumption)
    基本的過仮定は、実行上の理論のように、対立もなく議論の余地もないものになる傾向がある。議論されうる「価値」であったものが、主にグループが成功体験を共有することで、その価値は徐々に認知的変容を起こして「仮定」になる。当該組織では、無意識なレベル。
    例)「TV宣伝はブランド構築の最も大切な手段のひとつである」が当然のことと考えている企業は、TV宣伝をやめようというような議論がなされる可能性はほとんどない。物事の決定は、1円でも給料の高い者が決めることが当然。前例主義など。

図 文化のレベルとその相互作用
(出所:シャイン,1989邦訳, p19より引用。引用元:Schein, 1980, p4)




 シャインの「価値」と「基本的仮定」は、厳密には区別することは、困難ではあるが、それらは、内部者にとってあたりまえすぎて、教えられないことが多く、外部のものにはわかりづらい。従って、共有していないことが摩擦の原因でもある。こういったことから、マネジャーがこれを把握していることは有用である。

 また、「基本的仮定」は過去の成功・失敗から、簡単に変わらないこともある。これは、変化する外部環境に際したときに、適応を妨げる、つまりは、変革を迫られる組織が変われない慣性を持つことも組織文化の特徴である。

組織の変革(高田, 2005 参照)
環境の変化に応じて変革が必要なことがある。組織文化は、そのような時に、順応するという機能を果たしてきた。その最も好ましい状態は、「組織メンバーが自律的に好ましい組織文化を作り上げ、又、環境の変化に伴って調整を加えていくことであろう。」(高田, 2005)ではあるが、組織変革が必要だと感じるタイミングは、危機的状況であることが多い。

時間がかかる組織文化の変革は、そのマネジメントは直接的には困難ではあるが、影響を与えていけることはできる。
第一に、リーダーの役割である。リーダーが当該組織の理想図を具体的に表明していくことである。その変化を具体的に伝える方法は、トップの交代という選択肢もそうである。例えば、GEにおいてのウェルチへのトップの交替劇は、それまでの官僚的なカルチャーを変革していくのに十分であった。

第二には、報酬とペナルティである。
新しい組織文化の形成に必要であると思われる行動を組織メンバーが取ったときに、心理的な報酬を得ることができる仕組みを作ることである。

例えば、意図的に昇進させた、新技術の開発に成功した新たな英雄は、組織に大きな影響を与える。また、リスクを背負うが、新たな文化を獲得するために新規事業を行なうこともある。


組織文化は、一般論的な最適な文化、最強な文化があるわけでなく、その強み、弱みで語られることが多い。それは、優良企業の組織文化が他社では機能するとは限らないことからも伺えることである。





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<参考文献>
○榊原清則, 『経営学入門 上 日経文庫 853 』, 日経文庫, 2002, 「Ⅱ 組織行動論―ミクロ組織論」p95を参考。
○ステファン・P・ロビンス,髙木晴夫監訳, 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』, ダイヤモンド社,1997, 第16章組織文化, 参照。
*上記の書籍は新版が出版されています。→『【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ
○エドガー・H. シャイン, 清水紀彦, 浜田幸雄訳,『組織文化とリーダーシップ―リーダーは文化をどう変革するか』, ダイヤモンド社, 1989(邦訳), 「第1章 組織文化を定義する」参考。
○高田朝子, 「組織文化のマネジメントについての研究ノート」, 『慶應MCC通信【てらこや】』Vol.29, 2005.
○野中郁次郎, 『経営管理 (日経文庫 (512)) 』, 日本経済新聞社, 1983.








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