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多様性のマネジメント

文化の次元を理解する。


キーワード:O型組織M型組織7つの資本主義

 多様性のマネジメント―特に、富の源泉が自国だけでなくなってきた現代においては、異文化への理解不足は、時に大きな摩擦を生み、企業にとっては、異なる文化(能力)を獲得できず、イノベーション、ひいては利益創出の機会を逸してしまうことになる。このことの問題は、そもそも、矛盾が生じていることにある。それは、「多様な個人を雇うことは、職場において既存のものに代わる強さを提供するが、既存の文化は、適合を求めるからである。」(ステファン・P・ロビンス, 1997邦訳, p385趣意)
そういったなかにおいても、異文化との摩擦を軽減していくには、文化が相対的にどの位置にあるかについての理解を深めることが挙げられる。

本ページでは、その次元として、林(1994)のO型組織M型組織、C・ハムデン‐ターナー, A・トロンペナールス(1997邦訳)の7つの次元を記載する。



O型組織、M型組織(林, 1994より)
 林(1994)が述べるO型・M型は理論的には、O型は有機的(organic)、M型は機械論的(mechanistic)であり、これに文化的な知覚特性(デジタルorアナログ)を取り入れている。一般的な組織構造で、事業部制組織(multidivisional structure)として語られる場合もM型組織とされるが、本ページでは、前者のことである。

 下には、O型・M型の組織化原理(複数の人からなる組織で何かをしようとするときの役割分担をどのように行なうかの原則)を示す。原型Oでは、上の三角形の部分が経営管理組織、下の長方形の部分が業務・作業組織を表している。三角形に組織が生存するために必要な経営管理任務(task)のすべてが含まれているとすれば、原型M型では積み木の部分に相当する。

 図 組織化原理
 (出所:林, 1994, p57 図2-1より。)




 林(1994)は、O型・M型組織の違いとして、図の斜線部分である「グリーンエリア」の有無を挙げ、日本の組織は、O型組織であり、このグリーンエリアが存在する特徴を示している。
グリーンエリア:仕事領域の境界部分ではなく、一つの目的やアイデンティティの下に戦略的コンセンサスが形成される場であり、個別主体の集合というより複数の個が一体化して一つの主体になったような行動が生まれるコミュニケーションの母体。

 また、①コミュニケーションのスタイルとして、高コンテクスト(場への依存が高い、文脈を共有していることが必要)、低コンテクスト、②知覚として、デジタル知覚(現実世界に境界線を引き,境界線の両側を区別して理解する)、アナログ知覚(境界線の両側を不連続なものとして区別するよりも、むしろ連続的な相対的イメージとして知覚し、理解する)を考慮した時、日本は、(O型で)高コンテクスト、アナログ文化であるとしている。

例えば、その著の中で、上図の星印で問題が起こった場合のことを記載している(以下)。
第一ステップ
O型・M型ともに「問題は何か」が議論される。
第二ステップ
O型:「どうしてその問題が生じたか」という原因の追究
M型:「その問題は誰の責任か」→「職務は遂行しており、自身の責任ではない」
第三ステップ
O型:(問題解決に向けて)「誰がやるか、別にプロジェクトを組むか」という方策が議論される。
M型:・・・誰かの責任で決着する。

 日本はO型の組織化原理(グリーンエリアが存在する)で、高コンテクスト、さらにアナログ文化(総合志向)である。それ故、例えば、人の現地化が進まないといわれている日本企業や異文化とのコミュニケーションにおいては、これらの特徴を意識することで(低コンテクストなコミュニケーション、デジタル的な説明を心がけるなど)、摩擦を軽減できるのではないだろうか。





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7つの資本主義(トロンペナールス, ハムデン‐ターナー 1993, 1997邦訳より。)
 トロンペナールス,ハムデン‐ターナー(1993, 1997邦訳)は、アメリカ、ドイツ、日本、イギリス、スウェーデン、フランス、オランダという7カ国を現在あるいは過去に経済的に成功した7つの資本主義の国として分析し、富の創出に関連する7つの次元を提示した(以下,pp13-14参照)。

  1. 普遍主義 vs.個別主義
    すべてに通用する法則や規則があり得ると考えるか否か。
  2. 分解vs.総合
    有機的 or 機械的?
  3. 個人主義 vs.共同社会主義
    個人の資質に注目することが相対的に重要か、共同社会としての会社の発展が重要か。
  4. 自己基準 vs. 外部基準
    行動指針を求める際に、自己基準的(周囲を左右できる)か、外界のを尊重すべきか。
  5. 逐次的時間観 vs. 同期化的時間観
    逐次的時間の経過のうちに物事を行なうのか、種々の努力を同期化した整合的な完成か。
  6. 獲得地位 vs. 生得地位
    地位は、業績で決めるのか、それ以外の特質(日本では年齢;年功が重視)で決めるのか。
  7. タテ社会 vs. ヨコ社会
    平等の処遇、機会の均等などのヨコ社会なのか、指揮・監督する権威(タテ)なのか。

グローバルな環境での多様性のマネジメントでは、文化のモデルや次元は、自分や相手の文化を理解する助けになるツールとして捉え、具体的には、協働する人々の文化を理解することで摩擦を軽減していくことが肝要である。





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<参考文献>
○ステファン・P・ロビンス,髙木晴夫監訳, 『組織行動のマネジメント―入門から実践へ』, ダイヤモンド社,1997邦訳, 第16章 組織文化より。
*上記の書籍は新版が出版されています。→『【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ
○林吉郎, 『異文化インターフェイス経営―国際化と日本的経営 (Strategy & management)』, 日本経済新聞社, 1994.
○C・ハムデン‐ターナー, A・トロンペナールス, 上原一男 , 若田部昌澄訳, 『七つの資本主義―現代企業の比較経営論 』, 日本経済新聞社, 1993, 1997邦訳.






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