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戦略論

経営戦略とは?戦略策定とは?


キーワード: ドメイン戦略資源戦略競争戦略経験曲線効果ポートフォリオ・アプローチ

組織には、目指すべき将来像がある。それらを鑑みつつ、企業や事業の収益、また成長に貢献していく将来の構想、または設計が戦略とも言える(「戦略」を参照)。

戦略を策定する最も単純なプロセスについて、榊原(2002)は、アンドリュースの戦略策定プロセスを著している。それは:
①環境にある機会脅威の識別
②自社の独自能力(強み弱み)の評価
との環境、自社分析から、マッチングを考案し、識別するというものである(SWOT分析)。
*SWOT分析は合理的であるゆえ、出発点として有効ではあるが、漸進的なアプローチも同様に重要である(SWOT分析参照)。

従って、戦略とは、経営理念とは異なり、具体的なアクションが導けるものである。
簡単に言えば、戦略を決めるとは:

「ドメインを定義し、資源配分を決定し、競争ポジショニングを行なう」(榊原, 2002)ことである。

  1. ドメイン戦略
    そもそも、ドメインとは、「諸環境の中で組織体がやりとりする特定領域」(石井他,2002)、「組織がやりとりする特定の環境部分」(榊原,2002)とされている。この場合、組織の活動範囲ないしは領域を決定することである。

    事業領域と戦略領域:現在の事業領域に加えて戦略領域(=まだ事業化されていない潜在的な事業領域)も含む。
    物理的定義、機能的定義:物理的定義とは、製品そのものでの定義であり、機能的定義とは、製品の果たす機能による定義。
    環境変化への適応:ドメインは、環境変化に適応しながら、適切に変化させていくことが重要である。


  2. 資源戦略
    「有形(=ヒト、モノ、カネなど)無形(=技術、信用、ブランド、ノウハウ、のれんなど)の経営資源をいかに獲得し、その価値を高め、そして配分するかに関わる意思決定」(榊原,2002)である。分析手法としては以下。


    経験曲線効果:ボストンコンサルティング・グループ(BCG)が1960年代に数千例の製品コストを実証的に分析して発見。累積生産量が2倍になるごとに単位あたりのコストが一定の割合で減少するというもの。この効果は、スケールメリットとは異なるものである。
    経験曲線効果(Wikipedia)

    この曲線が示唆することは:
    “最大のマーケットシェアを維持する企業の累積生産量が業界で最大となり、コストは最小になる”ことから、マーケットシェア獲得が競争優位の源泉になるということである。


    ポートフォリオ・アプローチ:会社全体のキャッシュの最適化を図るための分析ツールである。経験曲線の理論を背景に、どれだけキャッシュを生み出せるかを示唆する「相対市場シェア」を横軸に、ライフサイクル理論を背景に、どれだけキャッシュが必要かを示唆する「市場成長率」をタテ軸に示している。単位は各SBU(=(Strategic Business Unit:戦略的事業単位)の売り上げ規模が円で示されることが多い。
    (詳細は“PPM分析”:協同組合京都府中小企業診断士会「経営基礎講座」を参照)


    以下では、ポートフォリオ・アプローチの問題点を挙げる。
    榊原(2002)
    • 市場の魅力度(タテ軸)を,市場の成長率という単一のインディケータだけで表現するのは単純すぎる。
    • 事業の競争力(ヨコ軸)についても、相対市場シェアという単一のインディケータで表現するのは単純すぎる。
    • 四分類の呼称は不適当。負け犬(あるいは金のなる木)を誰が担当したがるか。

    石井他(2002)
    • SBUの定義の困難性(製品とは何か、市場とは何か、何を基準にして戦略事業単位を定義するか)
    • モデルの仮説の非現実性(企業を独立事業単位に分割できると前提しているが、たとえば日本電気のC&Cコンセプトは通信、コンピュータ,電子デバイスを三位一体ととらえているので、業績だけである事業を手放すことができない。)
    • 新事業,新製品の探索機会の不在(この枠組みでは新たな成長機会は探索しにくい。)


  3. 競争戦略
    1980年頃からポーターを中心に確立されていったもので、「産業内で高い成果を上げ、そしてそれを維持するために企業が行なう意思決定」(榊原,2002)としている。従って、収益性の高いところに自社をポジショニングすることを鍵としている。

    ポーターは、競争を激化させる構造要因をとして5つ挙げ、そのモデルから、その業界における脅威の源泉が何か?など、産業の競争構造を分析できるモデルを提唱している。
    ポーターの戦略論(ファイブフォースモデル)

    また、競争優位を獲得できる産業内でのポジショニングにより、産業平均以上の収益を獲得する戦略として、①コストリーダーシップ、②差別化、③集中(コスト、差別化)を挙げている。
    ポーターの戦略論(基本戦略)
    ポーターの戦略論(反論・弱点)






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<参考文献>
榊原清則, 『経営学入門 上 日経文庫 853 』, 日経文庫, 2002, 「Ⅳ 経営戦略論」を参考。
石井淳蔵, 加護野忠男, 奥村昭博, 野中郁次郎, 『経営戦略論 』, 有斐閣, 2002.






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